八味姉妹の部屋

文芸ユニット。只今、エッセイの勉強中です。

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「絵」蒼月 光 著

平日の昼間。 霧雨の注ぐ音が聞こえそうなほど静まり返った美術館で、絵画を観ていた。 森林展とされただけあって、木や林や森が額縁一杯に描かれた絵ばかりが展示された館内。コンクリートの壁、徹底した温度湿度の調整。人工物で囲まれた部屋にいるはずな…

「絵」御理伊武 著

小学校の体育館にカーテンのように飾られる絵画コンクール入賞者と学年毎に優秀として大勢の中から選抜された絵は、飾られる子供にとっては勲章なのだと思った。私も絵が得意な友達の名前を見つけては、すごいねと賞賛した。 そんな私の絵も飾られたことがあ…

「雨」高柳 龍 著

「雨に濡れるこころ」 小降りの雨が陽射しに映える。さすがに濡れるだろうからと愛用の大傘を先程から差している。 昨夜はゼミの仲間と浴びるほど飲んだ。元々酒精に弱く途中で正気は吹っ飛んだ。依然、酔いが頭に渦巻いている。日曜日だが偶には独りのんび…

「雨」蒼月 光 著

自分は晴れ女だと思っていた。 学生時代の遠足や学校祭、家族旅行等の想い出は大抵晴れの日と共にあるから。 それは傘やカッパを着た写真が見当たらないことからも明らかだ。 けれどいつからだろう。 非日常を強調するような猛烈な雨と共に思い出が作られる…

「雨」御理伊武 著

突然の夕立。 桑園イオンを出た私は呆気に取られる暇もなく駐輪場の自転車へと向かう。軒下から3秒歩いて出てみれば、すぐに、ずぶ濡れになってしまう雨の勢い。しかし、ここまで自転車に乗って来たからには自転車で帰るしかない。 ショッピングセンターを…