八味姉妹の部屋

文芸ユニット。只今、エッセイの勉強中です。

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「映画」高柳 龍 著

「映画古譚」 1961年、滝川の小学校に入学した。テレビが映像の主役ではなかった時代、年に数度、母に連れて行ってもらう映画館は「娯楽の殿堂」だった。 照明が落ちるやブザーが鳴り響く。身構えるのと同時に心拍が始まる。両側の「非常口」の赤灯と大スク…

「映画」御理伊武 著

人生初の映画はドラえもんだ。 「のび太の魔界大冒険」かつて札幌市中央区2条西5丁目にあった、東映に家族でドラえもんを見に向かった。日曜日で満員御礼、立ち見大歓迎。ラッシュ時のような人の混雑の中、通路にも人がいっぱいで、ぎゅうぎゅう詰め。 私…

「映画」蒼月 光 著

学生時代、履修科目でフランス語を学ぼうと選択した。 義務教育から散々教え込まれてもしっくりこない英語への反発か、見知らぬ言語への単なる興味だったか、今となっては選択した理由はトンと忘れてしまったが。 担当教授は肩までの長さの真っ黒い髪をソバ…

「夏服」高柳 龍 著

歓喜雀躍の半ズボン 服のことなど母親に任せておけばよい、細かいことに拘らぬが男なのだと思っていた世代は、昭和30年代前半生まれくらいまでであったか。とは言え、自分の好まぬ物を着せられては溜まったものじゃなく、断固、拒絶することもあった。だが…

「夏服」蒼月 光 著

庭の雪がようやく見えなくなって、ほんのりと太陽の光が温かみを感じるようになってきた頃。雀の御一行が、鳥小屋近くのまだ小枝も伸びていないような桜の木に舞い降りてくる。鳥小屋といっても簡素で壁がないそれは、寒さを凌ぐには不十分なのだろうに。厚…

「夏服」御理伊武 著

何度か目覚まし時計のけたたましい音を夢の中か起きる気力のない現実かで、やり過ごした私は、最後のアラームを止める。十分間に合う時間に最終アラームは設定されているが、それでも急がなくてはいけない。 昨日洗って干したままの白い制服はまだ湿っている…

「料理」高柳 龍 著

ひねくれ者のバラード 初夏の散策に鳥の声を楽しむ。鶯、郭公、鶫、等々、姿見せずに空間に響き渡らせる声色に釘付けになる(種々の声が混じるが不案内の為、美声の主をこれ以上挙げられぬ。残念)。 ある日ふと思った。彼等の美声は快楽の為に歌う人間のそ…

「料理」蒼月光 著

おふくろの味というのがある。 幼い頃から食べ慣れた、自分の家でしか食べられない味。 我が家の場合は、主に御赤飯と小鯵の唐揚げの南蛮漬けだろうか。 私は生まれも育ちも道産子だけれど母は関東出身。 関東にいた時間より北海道で暮らす時間の方がはるか…

「料理」御理伊武 著

居酒屋の席に落ち着き、ビールや飲み物を頼んで、飲み物がくるまでメニューを広げて眺める。唐揚げに、枝豆、後は鳥串と…。卵焼きの文字が目に入る。どのお店でも500円程度でボリュームのある卵焼きを私は必ずと言って良いほど注文する。 卵焼きが大好き…

「水遊び」高柳 龍 著

水遊び今昔 中島公園「鴨々川」、大通公園の噴水(2基あったうちの一つ、今もあるか?)、「さとらんど」の人工巨大水辺(名称知らず)等々、札幌界隈在住のご家庭では子どもが小さい頃何度も訪れた場所ではないだろうか。少し長ずれば手稲の巨大プール施設…

「水遊び」御理伊武 著

私が4、5歳の頃にビニールプールで遊んでいる写真がある。 平屋の公務員官舎の庭の片隅。車がなかった我が家は、雑草の生えた石と土の混じる駐車場をそのまま子供の遊び場にしていた。自家用車のある他の家は、青いブルーシートを張った車庫を作ったりして…

「水遊び」蒼月光 著

最近、時間と体力が有る時は、父が当番役になっている町内会の花壇の水遣りを手伝うことがある。 準備として近所の公園の水飲み場まで水を汲みに行くのだが、その公園には子供たちが十分遊べるくらいの規模の水場が造設されている。 水深は子供が座り込んで…

雑談 「青じそ 愛」

札幌は連日のように最高気温が30度を越えている。夏バテで皆、よく倒れず頑張って生きてるよなあと思いつつ、私も滝のように汗を流しながら過ごしている。10年越えの冷蔵庫もこの暑さにやられたらしく、氷を作るのを止めてしまった。 そんな中、私が僅かに涼…