八味姉妹の部屋

文芸ユニット。只今、エッセイの勉強中です。

高柳龍

「絵」高柳 龍 著

◇ 絵 ◇ 「 秘密基地にありしもの 」 “なあに水面まで高が50㎝もない滝壺だったのか。これを滝壺と呼んでいいのか、別称が浮かばないのが面映ゆかったが、無性に懐かしかった。あれから10年以上も経って姿を留めているとは” もう40年以上も前、つまり大…

「雨」高柳 龍 著

「雨に濡れるこころ」 小降りの雨が陽射しに映える。さすがに濡れるだろうからと愛用の大傘を先程から差している。 昨夜はゼミの仲間と浴びるほど飲んだ。元々酒精に弱く途中で正気は吹っ飛んだ。依然、酔いが頭に渦巻いている。日曜日だが偶には独りのんび…

「映画」高柳 龍 著

「映画古譚」 1961年、滝川の小学校に入学した。テレビが映像の主役ではなかった時代、年に数度、母に連れて行ってもらう映画館は「娯楽の殿堂」だった。 照明が落ちるやブザーが鳴り響く。身構えるのと同時に心拍が始まる。両側の「非常口」の赤灯と大スク…

「夏服」高柳 龍 著

歓喜雀躍の半ズボン 服のことなど母親に任せておけばよい、細かいことに拘らぬが男なのだと思っていた世代は、昭和30年代前半生まれくらいまでであったか。とは言え、自分の好まぬ物を着せられては溜まったものじゃなく、断固、拒絶することもあった。だが…

「料理」高柳 龍 著

ひねくれ者のバラード 初夏の散策に鳥の声を楽しむ。鶯、郭公、鶫、等々、姿見せずに空間に響き渡らせる声色に釘付けになる(種々の声が混じるが不案内の為、美声の主をこれ以上挙げられぬ。残念)。 ある日ふと思った。彼等の美声は快楽の為に歌う人間のそ…

「水遊び」高柳 龍 著

水遊び今昔 中島公園「鴨々川」、大通公園の噴水(2基あったうちの一つ、今もあるか?)、「さとらんど」の人工巨大水辺(名称知らず)等々、札幌界隈在住のご家庭では子どもが小さい頃何度も訪れた場所ではないだろうか。少し長ずれば手稲の巨大プール施設…

「じょっぴんかる」高柳 龍 著

◇じょっぴんかる◇ 「己を出すことから」 高柳 龍 昔から犬派であったのは、私が普通以上に男女の違いを意識する子どもであったことも理由にあったろう。男は犬好きで女は猫を可愛がる。厳寒の雪中でも堪える意識も無く犬とじゃれ合う男の子、片や耐寒力弱く…

「青」というテーマの元に「色感談義」 高柳 龍 著

八味姉妹の執筆活動の原点は、学生時代に立ち上げ直した「文芸同好会」です。その時の顧問である高柳 龍先生に、最近、再び懇意にして頂き、ご指導賜りたくエッセイを執筆して頂いておりました。(文学フリマに来て頂いて、本当に感謝と嬉しさでいっぱいでし…